私にプエルトモンの仕事を依頼したのはサンティアゴのC社だった。
現地支配人のUさん(日本人)は私と同い年だ。
驚かせようと、何の連絡もせずにその事務所を訪ねた。
女性が一人で留守番していたが、彼の席は空いていた。
「Uさんは5年前に亡くなりました」
日本からの手土産は彼女に渡した。
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プエルトモンの工場で管理職だったチリ人マルセロは、すでに会社を辞めて当地を去っていた。
すっとした色男だったが、今はビール樽のように太ったという。そう電話で話した。
プエルトモン市街地からアンヘルモ港までは半時間ほど歩く。
その途中にロベルト・マタさんは店を構えていた。
アルゼンチンからチリに移住したのだ。
ジゴロマタさんは髪を短くしただけで、ほかはほとんど変わりがなかった。
私にごちそうしてくれ、時間通りに店を閉めると、そそくさと彼女の家へ帰って行った。