また聞かれました。
最期に何を食べたい?

一杯の珈琲。
(ほんとは「食欲なんかあるものか!」と答えたいところです。)

+   +   +

ペルーかブラジルあたりの薄煎り豆を買ってきてもらい、
手回しミルでカリカリ挽いて、
一杯分の珈琲をペーパードリップで落とす。

挽いていると、軽やかな香りが立ち上がり、
落としていると、香りは熟してつぼみのように膨らむ。
口の中で、甘い思い出、苦い記憶が一瞬のうちに呼び覚まされる。

一口目がアクメだ。
もう逝ってしまおう。